今年11月1日は日曜日


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この見だしで、多くの競馬ファンは"ハッ"としないだろうか。1998年11月1日(日)、天皇賞(秋)。主役となったサイレンススズカは1枠1番、1番人気とあらゆる箇所に"1"が着いた。この日ばかりは馬券よりもサイレンススズカが"どのような勝ち方をするのか"に注目が集まった。いつも通りスタートを決め先頭に立つ。前半1000mのラップタイムは57.4秒。平均が60秒である事を考えると相当なハイペースだ。バックストレッチではカメラが全体を映し出せない程、サイレンススズカは後続を引き離す。カメラは主役であるサイレンススズカ1頭に絞られるが、このあたりから僕は、「訳が分からない嫌な気分」になった。全てが上手く行き過ぎているからだ。3コーナー途中、馬のバランスが崩れた。当たって欲しくない予感が現実になってしまった。実況アナウンサーが「沈黙の日曜日」と叫ぶ。スタジオの女性解説者は堪えきれない涙を流している。


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優勝したオフサイドトラップに騎乗した柴田騎手は「ラッキーでした」とコメントしただけで周囲から大バッシングを受ける。ファン、競馬関係者、トラックマン、色んな人達が傷付いたレースだった。ゴールを目指し、なおかつ馬がトップスピードにのった時、騎手も怖さが付きまとうだろう。サイレンススズカが府中のターフを眼窩に他界し20年を迎えようとしている。今でも彼の墓石に献花するファンの心中には、ターフを駆け回るサイレンススズカの姿が生き続けているだろう。


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